JAM’S　ROCK

　昔々、ハードロックのドラマーだった。「ドラマ」じゃないよ、「ドラマー」だよ。
　中学１年生の時、兄貴にドラムを薦められた。なぜなら兄貴はギターだったからだ。なぜ、ドラムなのか分からない。でも自分は「いいな」と思った。だから始めた。
　幸いにも自宅（今の実家）でドラムセットを購入して、叩ける環境にあった。朝から晩までドラムにのめり込んだ。当時中学生だった自分は回りにドラムをやっている奴はいなくて、独占企業のようなもんだった。
　たかだか１２，３歳の子供がドラムだよ。セットだって安くたって１０万位はする。中古でもその半値だ。正月のお年玉をはたいてドラムセットを買った。それからは明けても暮れてもドラム三昧。ミュージシャンになろうと思ったときもあった。
　高校生になっても音楽は続けた。ドラマーの中では１，２位を争う存在であり続けた。でもさすがにドラムスクールに通っていたヤツには敵わなかった。基礎が違うのだ。悔しかったねぇ。それから細々と基礎練習を始めたが、もう追いつかなかったね。でもヤツはジャズドラマー、俺はハードロックドラマーってことで勝手に気持ちの整理をし、落ち着かせた。
　高校を卒業してから、いろいろと忙しくなり、バンドメンバーも散り散りになって、ドラムを叩くことがなくなった。

　ドラムを止めてしまってから20年近く経つけどいまでも当時流行っていた曲を聴くとそのときの事を思い出す。最近の曲を聴いてもドラムラインばかり追っかける（笑）やっぱり俺は根っからのドラマーなんだと実感する。